■ 相続税について よくあるご質問

養子縁組による具体的な相続対策を教えてください

相続税における養子縁組のメリットは主として次のようなものです。

  • 相続税の基礎控除額(1人1,000万円)、生命保険や死亡退職金等の非課税枠(1人500万円)が拡大します。
  • 相続税を計算する際の税率が下がり、相続税が軽減されます。
  • 孫と養子縁組をすれば、相続税が課税される機会を1世代飛び越すことができます。

[具体例]

  • 財産3億5千万円で配偶者なしで子供2人の時に、養子縁組をして相続人が3人になった場合
  • 相続人が1人増えるため基礎控除額は1,000万円増え、相続税の総額も7,800万円から6,000万円になるため、1,800万円節税できます。
相続人の人数に対する基礎控除額と相続税額
相続人の人数基礎控除額相続税の総額
現状(相続人2人)7,000万円7,800万円
養子縁組後(相続人3人)8,000万円6,000万円
差額+1,000万円▲1,800万円

注意点1:養子の数の制限

法定相続人の数に含めることができる養子の数は、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人まで認められます。なお、民法上は養子の数に制限はありません。

注意点2:孫を養子にした場合は2割加算

孫(代襲相続をする孫を除く)を養子にした場合は、孫が取得した財産の相続税負担額が2割加算されます。

注意点3:養子が認められない可能性もある

相続税を不当に少なくするために養子縁組が行われたと判断された場合は、相続税の計算上は養子がいないものとされます(養子縁組自体が取り消されるというものではありません)。
 例えば・・

  • 将来お墓を守ることになる孫に自分の遺産を遺したい
  • 自分の面倒をみてくれた息子の嫁を養女にして遺産を遺して感謝の気持ちを示したい…など

従って、養子縁組による相続の際の節税はあくまでも結果であり、それが目的とはなり得ません。

    

注意点4:相続人の間でトラブルになる可能性も

養子縁組を結ぶことにより、他の兄弟と同様の相続権が発生します。財産がある場合は、事前に家族間で充分な話合いが必要となります。たとえば、兄弟が数人いる場合に、特定の兄弟の子を養子にする場合は、その家族だけ相続分が増えることになり、円滑な相続のためには、他の相続人との公平を図ることが必要となります。

相続税の申告が必要な場合とは?

相続税の申告が必要になる場合とは、課税価格が遺産に係る基礎控除額を超えた場合です。なお、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」等の特例を受けるには申告が要件です。

相続税の申告

遺言をしておきたいのですが、どうすればいいでしょうか?

一般に利用されている遺言には二種類あります。

■自筆証書遺言
遺言をする人が自分で「全文」「日付」「氏名」を自筆し、捺印します。費用はかかりません。要件が不備のときは無効になります。よく無効の遺言書を見かけます。
■公正証書遺言
公証人役場で、二人の立会いのもとに、遺言の内容を公証人に口述し、公証人がこれに基づいて遺言書を作成します。費用は財産の規模によって違いますが、20万~60万(10億)くらいです。

公正証書遺言をしたいと思いますが、どんな場合に必要ですか?

  • 法定相続人に遺産をあげたくない場合
  • 法定相続人以外の人に遺産をあげたい場合
  • 社会のために財産を使いたい人
  • 会社や事業を特定の相続人に引き継がせたい場合
  • 相続人同士の仲が悪い場合
  • 子供がいない夫婦間で配偶者に全財産を残したい場合
  • 特定の相続人に沢山の財産を残したい場合 等です

相続税の物納とはどのようなものですか?

相続税は相続開始後の10ヶ月以内に現金で納めることが原則ですが、現金納付が困難な場合に限り、延納と物納が認められています。延納とは分割して納付することで、物納とは土地等の財産で納付することです。

どちらも相続開始後10ヶ月以内に申請をしなければ受けることはできません。ですから金銭での納付に不安があるのであれば、期限内に申請しておくことが重要です。申請をした後から物納から延納への変更、現金納付による取り下げ等は可能です。

相続税の申告期限はいつですか?

相続税申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告します。申告書の提出先は、被相続人の死亡時における住所地の所轄税務署になります。

注意したいのは、配偶者の税額軽減や小規模宅地の減額特例を使って、相続税がかからなくなった場合でも、申告書を提出しなければならないことです。

また、申告期限まで分割協議が成立しなかった時は、配偶者の税額軽減や小規模宅地の減額特例は受けることはできません。この場合、民法の相続分により取得したものとして税額を計算し、申告します。相続税の申告期限の翌日から3年以内に分割ができた場合、更正の請求(相法32条)をすれば税金の還付が受けられます。