財務経営について考える

事業承継~平成20年度税制改正について

≪2008/07/28≫

非上場株式の納税猶予

中小企業の事業承継の円滑化は、「経営承継円滑化法」で規定される「民法特例」と「金融支援」、また、平成21年度税制改正で創設される「事業承継税制」の3本柱となります。

経営承継円滑化法の概要

  ■遺留分に係る民法の特例

現行の民法では、各相続人に認められている「遺留分」(最低限の財産を相続できる権利)によって、事業を承継する相続人の相続株式が削られる可能性があり、結果として経営が不安定になるという側面があります。
  これが民法の特例として、①現経営者が事業承継者に株式を自然贈与した場合に、全推定相続人の合意があれば、その株式相当額を遺留分算定の際の財産から外すことが認められます。また、②生前贈与株式の評価額を予め固定することが認められ、後継者の貢献による株式価値上昇分が遺留分減殺請求の対象外となるため、経営意欲が阻害されません。

  ■金融面での支援措置

 代表者の死亡などによる事業承継の場合、信用不安等により運転資金のショートを生ずるケースがあります。そのため円滑な事業承継を進めるために、公的保証や低利融資などの優遇措置が図られます。

適用期日
経営承継円滑化法は、平成20年10月1日から施行され、民法特例は平成21年3月1日から施行されます。

事業承継税制の概要

事業承継をする相続人が、代表者であった被相続人から会社の株式を取得し、経営を行っていく場合には、その事業承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続した株式に係る課税価格の80%に対応する相続税の納付を猶予することとなります。
 この特例は、平成21年度税制改正で創設されますが、経営承継円滑化法の施行日である平成20年10月1日以降に発生した相続から遡及適用される見込みとなっています。
 この特例の具体的要件は、以下の通りです。

  ■事業承継相続人

経営承継円滑化法における経済産業大臣の認定を受けた一定の中小企業の発行済株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、同族関係者の中で筆頭株主である後継者。納税猶予となった株式を死亡時の時まで保有し続け、相続税の申告期限から5年間は代表者でなければならない。

  ■被相続人

会社の経営者で、発行済み株式等について、同族関係者と合わせその過半数を保有し、かつ、同族関係者(事業承継相続人を除く)の中で筆頭株主であったもの。

  ■適用対象株式

相続開始前からすでに保有していた議決権株式を含めて、その会社の発行済み議決権株式の総数の3分の2に達するまでの部分。

相続税制の抜本的見直し

非上場株式の納税猶予の制度創設に合わせて、相続税課税方式の抜本的な見直しが検討されています。
 これまでの相続税の総額を法定相続人の数と法定相続分により算定する「法定相続分課税方式」では、特例を適用して株式を相続した事業承継相続人以外の相続人に対しても税額軽減が生じ、また相続人の中の1人が相続を滞納した場合、他の相続人に連帯納付義務が生じてしまうなどの問題がありました。
 これを相続等により遺産を取得した個々の相続人ごとに課税する「遺産取得課税方式」に改正することが検討されています。


年金記録の訂正による公的年金の増額支給分について

≪2008/03/01≫

今回は私たちが今、最も関心があり社会問題化している年金支給についてです。

年金時効特例法が昨年7月に施行されました。施行以前は、年金記録の訂正された結果、年金が増額した場合、時効により直近5年間分の年金しか受け取ることができませんでしたが、これからは、時効によって消滅した分も含めて、本人又は遺族が全額受け取れるようになりました。

 〔1〕 本人に増額支給された年金の税務上の取扱い

公的年金等は、税務上、雑所得として取り扱われます。
まず、直近5年間分の年金は、本来の支給日の属する年の雑所得として課税されます。そして源泉徴収の対象になります。確定申告書を提出している人ならば、修正申告する必要があります。

次に、過去5年超の年金は申告する必要はありません。そのうえ源泉徴収の対象ともなりません。その理由は、国税通則法で国税の徴収権の消滅時効を5年と規定しているからです。

 〔2〕 遺族に増額支給された年金の税務上の取扱い

年金記録の訂正によって年金が増額された人が既に死亡している場合は、遺族に増額分の年金が支払われることとなります。この場合の取扱いは2つに分かれます。
 まず、遺族が直近5年分の年金を受け取るときは、遺族が実際に支給を受けた年の一時所得として課税されます。このケースでは源泉徴収の対象にはなりません。
 次に遺族が過去5年超の年金を受け取るときは、申告する必要はありません。

ポイント
本人に増額支給された場合で、修正申告をして、税額の修正によって延滞税がかかってしまうケースがあります。行政側の不備が原因で修正申告をしているのに、本税は仕方がないですが、この延滞税は少し納得いかないですね。

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